2017年06月23日

アイスブレイクの落とし穴。重要なのはアクティビティではなく目的

「会議」という言葉でどんなイメージをもちますか?
「やったぜ!また会議だ。やっほーうい」となる人は少ないでしょう。

 もし、わくわくしたり、リラックスした雰囲気の会議があるとどうでしょう。
 程よい緊張感は必要ですが、照れや恐れ、疑いが生み出すぎこちない緊張感があると会議は、はかどりません。
発言が出なかったり、お互いの探り合いに没頭してしまったりします。
 いかに緊張をほぐし、会議にぴったりの気持ちや雰囲気を作っていくかが成功の鍵になります。

雰囲気を作る方法はいくつかあります。

よく紹介されてるのが、「アイスブレイク」という方法です。ちょっとした会話、体操やゲームなどのアクディビティを通して文字通り氷を溶かすように雰囲気を和らげる手法です。

 青木将幸さんの著書「リラックスと集中を一瞬でつくる アイスブレイクベスト50」(ほんの森出版)を参考にすると、アイスブレイクの目的は7つあります。とても参考になるまとめ方です。

①緊張を和らげる
②みんなの名前を覚える
③お互いの理解を深める
④眠気を覚まして集中力を高め、リフレッシュする
⑤グループに分ける
⑥チームワークを高める
⑦視点やメッセージを伝える、です。

とても参考になるまとめ方です。

アイスブレイクは本やネットで調べればキリがないほど出てきます。
そして、実際にやってみると効果覿面です。けっこう楽しいし、一体感がでます。

でもそんな便利なアイスブレイクにも落とし穴があります。今回はアイスブレイクをあえて3つの視点から批判的に見てみようとおもいます。


①アクティビティの目的化
 便利なアイスブレイクですが、慣れてきた人が陥りやすい落とし穴があります。それは、アクティビティにばかり集中してしまい、会議やワークショップの本題が疎かになってしまうことです。本来は、会議などの独特の緊張感(アイス)をブレイクすることが大切なのですが、奥が深い分、本質を忘れてしまうことです。企画を考えるときに、どんなアイスブレイクをするかばかり盛り上がって、本題の部分が疎かになってしまうような事態です。つまり、目的の為にアイスブレイクをするのではなく、アイスブレイク事態が目的化してしまうことです。例えるなら、クルタ族のために復習を誓ったはずが、復習事態が目的化してしまったクラピカです。
 アイスブレイク事態は楽しいかもしれませんが、必要以上にアクティビティを導入してしまったり、本題の議論が足らなくなって一体何の会議だったのかぼやけてしまうような事態になってしまします。

②アイスブレイク・ギャップ
 また、慣れてきた人がやってしまうのが、アイスブレイク慣れしていない人とのギャップを考えない導入です。これは個人的な感想ですが、ワークショップで「じゃあ、いまからアイスブレイクしまーす。みなさんたってくださーい」とか、会議前に「ではこれからチェックインしまーす」といって、あたかも当然のようにアイスブレイクが始まるのは不快なのです。また、いきなり「チェックイン」「エナジーチェック」「UFO」とかいわれてもわかりません。慣れた人にとってはあたり前のことかもしれませんが、初めての人にとっては意味不明な専門用語でしかありません。
 こういうギャップは、気持ちを揃えるはずのアイスブレイクで、逆に気持ちがおいていかれている感じがしてしまいます。

③慣れた場こそ導入しにくい
 そして意外とやってみるとわかるのですが、アイスブレイクは会社や自分が所属する団体の、ガチの会議では案外使われていない、もしくは使いにくいということです。日常から離れたワークショップや研修、模擬会議などでは導入がしやすいのですが、日常の会議だと、「今更・・・」「そんな悠長な」という心理的作用や、繁忙なときにやりずらい、、ということも多々あります。
 また参加者の権力関係が働いたりします。想像してみて下さい。年の離れた上司がいる会議でアイスブレイクをやるプレッシャーを・・・。他にも会社や団体の風習や文化などもあります。
 ちょっと矛盾していますが、慣れた場に導入するときこそ、案外アイスブレイクはやりにくい、という声を聞くことは少なくありません。


大切なのはアクティビティではなく目的
 いずれの落とし穴にもはまらないためには参加者の立場にたってアイスブレイクの目的をしっかりと意識することです。つまり、企画本体の導入としてどういったものがふさわしいか、参加者の人間関係や気持ちをどのように整えることが必要かといった視点です。

 それさえ抑えておけば、いきなり「はいアイスブレイクしますよ〜」とはならないはずです。そして、大きなアクティビティを入れなくても、ちょっとした明るい態度や挨拶でも十分緊張感はとけます。
 アイスブレイクに厳密なルールや手順はありません。参加者の立場、例えば参加回数や予備知識、抱える問題、動機などをできるだけ想像し、丁寧な導入を考えることに糸口があります。




同じカテゴリー(ファシリテーション)の記事画像
板書をしないと不毛な会議になる理由。
多くを問うものは多くを学ぶ!?質問づくりのワーク
アイスブレイク紹介・・・言葉を探せ!4人〜多数
不毛な会議を切り開くコツがあった。堀公俊「【実用のことば】会議を変えるワンフレーズ」
「誰でも芭蕉」で出来た俳句が斜め上だった。場がいっきに活性化したアイスブレイク
コミュニケーションを紐解くパーティゲームが、深い!
同じカテゴリー(ファシリテーション)の記事
 板書をしないと不毛な会議になる理由。 (2017-10-15 23:00)
 多くを問うものは多くを学ぶ!?質問づくりのワーク (2017-10-10 20:00)
 アイスブレイク紹介・・・言葉を探せ!4人〜多数 (2017-10-09 20:00)
 不毛な会議を切り開くコツがあった。堀公俊「【実用のことば】会議を変えるワンフレーズ」 (2017-10-05 20:00)
 進行役とは違うよファシリテーターは (2017-10-04 20:00)
 「誰でも芭蕉」で出来た俳句が斜め上だった。場がいっきに活性化したアイスブレイク (2017-10-01 20:00)

Posted by 峰政 裕一郎 at 22:23│Comments(0)ファシリテーション
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。