2017年08月13日
山本耕平「ともに生き ともに育つ ひきこもり支援」読了
今回、手にとって読んだのは和歌山市出身の研究者、山本耕平氏の「ともに生き ともに育つ ひきこもり支援」という本です。

副題に「協働的関係性とソーシャルワーク」とあります。
なんのこっちゃと思われるかもしれませんが、ソーシャルワークとは子ども、性、年齢、貧困、障害などあらゆる側面で社会的に不利益を被っている方の「あたり前の日常生活」を、当事者と関係を構築し、問題解決にむけて一緒に取り組んでいく専門的な支援方法です。
それを行う人達をソーシャルワーカーといいます。
ちょー簡単に言えば、困っている人と一緒に生活のお悩みを解決していく人、です。
海外では大学院を修了した人がプロフェッショナルとして活躍していまして、医師やカウンセラーとならんで市民権を得ています。
日本ではあまり知られていないかと思います。
でも、意外と身近にいますよ。日赤とか医大にはもちろんのこと、保健所、一般病院、児童や障害者施設などで働いています。日本のソーシャルワーカーは社会福祉士や精神保健福祉士という国家資格を保持している人を指すことが多いです。
閑話休題。
本書ではソーシャルワーカーのことを
としています。
そんなソーシャルワーカーに向けられた本です。
ですが、関係する方々やひきこもり支援に関心がある方、ご家族の方におすすめしたいです。
現代社会で取り組むべき課題とされる「ひきこもり」。
本書が魅力的なのは、ひきこもりを引きこもっている個人や、その家族の責任として捉えていないことです。
その関係が立脚する社会の状況の生きづらさの中で捉え、その中で渦巻く当事者、家族、支援者の状況に言及しています。
「支援者」対「被支援者」という「支援する者」「支援をされる者」ではない関係のあり方を中心に、タイトル通り「ともに生き ともに育つ」ことを目指し、揺らぎの中で培われるひきこもり支援について書かれている本です。
もし、ひきこもり支援のマニュアル本を期待されている方がいらっしゃったら、残念ながら本書はあまりうけないと思います。
どちらかと言えば、支援者の関わりの視点や現場哲学に言及しています。
研究者でありソーシャルワーカーである著者が、長年向き合ってきた実践の中から紡いできた本だと思いました。
本書の中で出て来る当事者の何気ない言葉は、そのひと言ひと言が支援者や現代社会に向けて一石を投じるものだと感じました。
例えばこんな言葉。
この一文を読んだだけで、頭をガツーンと叩かれたようでした。
けっして、この親と子は、憎みあっているわけではないと思いました。親は子の為を思っています。子どもも親の背中をみて、生きることについて自分なりに答えを出そうとしています。
それがすれ違いを起こしています。
この親と、この子は、社会と切り離して存在しているわけではなく、社会の中で生きています。つまり、社会的な矛盾がこの2人に凝縮されているように思えました。
そんなひきこもり支援の本。
よい参考になりました。
(ただ、入門書ではないので少しばかり(ほんまに少し)予備知識を必要としています。)

副題に「協働的関係性とソーシャルワーク」とあります。
なんのこっちゃと思われるかもしれませんが、ソーシャルワークとは子ども、性、年齢、貧困、障害などあらゆる側面で社会的に不利益を被っている方の「あたり前の日常生活」を、当事者と関係を構築し、問題解決にむけて一緒に取り組んでいく専門的な支援方法です。
それを行う人達をソーシャルワーカーといいます。
ちょー簡単に言えば、困っている人と一緒に生活のお悩みを解決していく人、です。
海外では大学院を修了した人がプロフェッショナルとして活躍していまして、医師やカウンセラーとならんで市民権を得ています。
日本ではあまり知られていないかと思います。
でも、意外と身近にいますよ。日赤とか医大にはもちろんのこと、保健所、一般病院、児童や障害者施設などで働いています。日本のソーシャルワーカーは社会福祉士や精神保健福祉士という国家資格を保持している人を指すことが多いです。
閑話休題。
本書ではソーシャルワーカーのことを
この社会で、人として暮らしをおくり、人としての豊かな育ちが可能となる働きを行う人の総体
としています。
そんなソーシャルワーカーに向けられた本です。
ですが、関係する方々やひきこもり支援に関心がある方、ご家族の方におすすめしたいです。
現代社会で取り組むべき課題とされる「ひきこもり」。
本書が魅力的なのは、ひきこもりを引きこもっている個人や、その家族の責任として捉えていないことです。
その関係が立脚する社会の状況の生きづらさの中で捉え、その中で渦巻く当事者、家族、支援者の状況に言及しています。
「支援者」対「被支援者」という「支援する者」「支援をされる者」ではない関係のあり方を中心に、タイトル通り「ともに生き ともに育つ」ことを目指し、揺らぎの中で培われるひきこもり支援について書かれている本です。
もし、ひきこもり支援のマニュアル本を期待されている方がいらっしゃったら、残念ながら本書はあまりうけないと思います。
どちらかと言えば、支援者の関わりの視点や現場哲学に言及しています。
研究者でありソーシャルワーカーである著者が、長年向き合ってきた実践の中から紡いできた本だと思いました。
本書の中で出て来る当事者の何気ない言葉は、そのひと言ひと言が支援者や現代社会に向けて一石を投じるものだと感じました。
例えばこんな言葉。
あくせき働いてきた親が幸せだったと思いますか?残業、残業でほとんど家にいなかった親がうつ病になって家がごだごだしたことを覚えている。そんな親がとにかく仕事をしなければと自分に強要する。さらには、誘い出す専門家を家につれてきたのです。こんな矛盾ありますか?
この一文を読んだだけで、頭をガツーンと叩かれたようでした。
けっして、この親と子は、憎みあっているわけではないと思いました。親は子の為を思っています。子どもも親の背中をみて、生きることについて自分なりに答えを出そうとしています。
それがすれ違いを起こしています。
この親と、この子は、社会と切り離して存在しているわけではなく、社会の中で生きています。つまり、社会的な矛盾がこの2人に凝縮されているように思えました。
そんなひきこもり支援の本。
よい参考になりました。
(ただ、入門書ではないので少しばかり(ほんまに少し)予備知識を必要としています。)
Posted by 峰政 裕一郎 at 20:00│Comments(0)
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